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2020.12.18
Column
No.7「社員間のホスピタリティある関係」
「ホスピタリティ」というと、どうしても「お客様」「接客」という外部の方への概念として捉えていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。もちろん、語源となる「ホスペス」から考えれば、「お客様」に対するものであることに間違いありません。
一方で、ホスピタリティは相互依存関係を構築するもの、と学術的には定義されており、つまりは深い信頼関係を築くもの、ということになります。そこから私たちはホスピタリティは自分以外全ての他者に対して発揮するものと考えております。実際にJTBではホスピタリティを「相手に喜んでもらうために、自ら進んで行う、相手の期待を超える、気持ちと行動」と定義しています。「相手」と広義にすることで、自分以外全ての他者であることを表現しています。
私たちのビジネスの中で、「人材派遣」を行っています。派遣する社員には、派遣先を利用される「お客様」のみならず、その派遣先にいる社員の方々も「お客様」であるとし、ホスピタリティある対応を周囲の方々にも実践するよう教育をしております。ホスピタリティを感じるポイントは違うかもしれませんが、相手基点でホスピタリティある対応を実践するわけですから、対応そのもののあり方は違っていても、ベースとなる気持ちの部分は「相手に喜んでもらいたい」ということに変わりはありません。
そこから紐解いていくと、定着率の良い組織や社内風土が良いという組織は、社員間で相手を思いやり、相手基点で対応しあえる社員の方が多いという事が言えます。実際に、私たちのもう一つのビジネス領域であるコンサルティングを実施する際、この社員間でのホスピタリティの有無が定着率の高低、ひいては組織力の有無とも大きく影響を与えていることが見えてまいりました。
“お客様”第一主義を掲げている組織は数多くありますが、その思想が身体化するためにも“相手”第一主義として、自分以外全ての他者に対して、というように変えてみるのも一つかと思います。