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2021.02.19
Column
No.9「美点凝視の精神性」
コロナ禍によるストレスの影響によるものなのか、昨今の風潮として人の欠点や課題、更には過去の失敗などを注視し攻撃することを散見いたします。SNSなど匿名性が高いために自らの存在や個人情報が表に出ることが少ないために攻撃性が増す、とも言われておりますが、人間本来の動物性が抑えられなくなり、生物として退化しているのではないか、と個人的に懸念をしております。
私の好きな言葉に「美点凝視」があります。ご存じの方も多い方と思いますが「相手の長所や徳性を意識的に注視すること」を意味します。部下育成などのマネジメント理論でも出てくる言葉です。
私はこの言葉に「真の相手基点」の精神性を感じます。相手の長所や徳性を凝視するには強い関心を相手に持たなければならず、更には負の感情を持って実施することはできません(“親ばか”というものがありますが、これは究極の「美点凝視」とも言えると思います)。
コンサルティングをしているクライアントのマネジメント層の悩みとして部下に関する事柄が多く挙げられます。私自身も部下を持つ立場として共感できることも多々あるのですが、その時こそ「美点凝視」の精神性をリマインドするようにしております。
誤解をされる方が多いのですが、本コラムのタイトルも「美点凝視の“精神性”」としました。ですので、美点凝視の精神性として部下の長所・徳性を注視することを忘れない、ということであり、それを伸ばすための行動は「褒め称える」ことが全てではありません。時に「もっと○○すれば今よりも良くなる」「本来のあなたであれば、もっと○○できる」と𠮟咤激励することも必要です。
ホスピタリティは相手との信頼関係を構築するものであることを研修時や本コラム内でも私は常に伝えておりますが、ホスピタリティの一つのマインドとして「美点凝視」というものもあるのではないか、と考えています(自分自身へのリマインドもこめて)。