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2021.11.15
Column
No.18「第2の“ホスピタリティ元年”」
コロナもようやく小康状態を迎え、明るい材料や情報が増えてきました。そんな中でアフターコロナを見据えた動きが顕著になっている今だからこそ危機感を込めて、「第2の“ホスピタリティ元年”」というテーマで記載させていただきます。
なぜこのようなテーマにしたかというと、ICTの急速な進化により、人的対応力に依存しないお客様対応が様々な業種で進んでいます。お客様視点で考えれば、「便利さ」「簡易さ」「コスト」などの観点から支持され、その支持に更に応えるために進化する、という正しいサイクルが回っていると思います。
さらにAIの進化により、「人」で無くても構わない職種が数多くあり、雇用そのものも考えさせられる、という議論を見かける機会も多くなってまいりました。また、コロナ禍により非接触型での機能が必要であったという環境要因も加速をさせている現状があります。
そのような中、「ホスピタリティある対応は今後も必要か?」「人的な対応をする職種は残っていくのか?」
私の答えは「今後も必要である」です。
とはいえ、今までの人的対応レベルやホスピタリティレベルでは昨今AIなどに取って替わられることになると思います。
例えば弊社含むJTBグループの主要事業である旅行を見ても、以前は情報の量、ネットワークがお客様から価値を感じていただいておりました。それがICTの発達により、情報収集はお客様自身でも完結することができます。そうなると、情報の量ではなく、お客様個々人の指向性なども踏まえて提案する情報選別力が重要になります。そしてこれが現在の状況です。これもAIが発達すれば、お客様個々人の情報が蓄積されることで、瞬時にお客様にあった旅行プランなどが提案されることになるでしょう。となれば、その先を行く対応ができなければなりません。
私はそれを「ストーリーテラー化」だと考えています。
具体的に言えば、お客様が旅行を検討する段階から旅行に対する期待感を醸成し、その期待感を旅行当日まで高めつつづけ、そして旅行中のフォローなどによるサプライズ感の連続提供、旅行後のフォローにより、お客様の想い出を強固な記憶の1ページに刻んでいただく。完全な解ではないにしろ、現段階での最適解の一つではないかと考えています。
よく私が小学生のころ、校長先生が「家に帰るまでが遠足」とおっしゃっていました。その当時は何気なく聴いて(時には友達同士でふざけあう話のネタとして)いましたが、最近、その重要性を踏まえて、お客様の先々でリフレインしています。
今回記載した内容は今後も議論されるテーマであり、人的対応とITの両立をどう図っていくか、あと数年は議論に時間がかかるのではないかなると思います。ただ、人材育成は一朝一夕でできるものではありません。“あの時、人材育成をしっかりと実施していれば”ということにならないよう、先々を見据えた取り組みを今から着手していくことで初めて人的対応とITの両立を図った時代に適応した組織として、今後も生き残っていけるのではないでしょうか?