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2023.04.14
Column
No.35「好事例の共有」
毎年この時期になりますと、筆者は以前クライアント様のご依頼でスタッフの接客や、社員間でのホスピタリティある対応の好事例を選定し、好事例集を作成することを長らく行っていました。どのクライアント様においても、最初は好事例の件数が少ないのですが、年を重ねるにつれ、徐々に件数が増え、最終的には選定作業が多大な工数がかかるほどの件数になっていきます。
さて、この好事例共有作業の中で感じるのは、右脳と左脳の両方が刺激される、ということです。「お客様に喜ばれた」「あの人のおかげで助かった」という内容を見ると選定しているこちら側の気持ちもうれしくなり、なぜか私までもが仕事に対するモチベーションが上がり、お客様マインドも再度喚起してもらえます。
また、「〇〇の取り組みをしてお客様から喜ばれた」という、現場での創意工夫により実施している施策が、非常に参考になるものもあり、アレンジをして他のクライアント様へ提案できるのではないかと考えてしまいます。
このような好事例共有をすることは、色々な企業様でも導入されている取り組みだとは思いますが、一方で成果まで繋がっていない、とお聞きすることもあります。好事例共有の意義と成果に繋げるためののポイントを再整理してみたいと思います。
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<好事例共有の意義>
1.個人のノウハウが組織のノウハウとして蓄積・展開される
2.周囲のメンバーに承認されることにより、発表者のモチベーションが向上する
3.「褒める」「称え合う」風土・文化が会社内に醸成される
4.皆で考え、アドバイスしあう風土・文化が会社内に醸成される
<好事例共有のポイント>
1.初回はこの取り組みの意義を参加者に明確に伝える
2.好事例の成果の大小は問わない
3.発表しやすい環境・雰囲気作り
(例.発表者に全員が笑顔で向き、発表後に拍手と共に「すごいね」「おめでとう」と賛辞を伝える)
4.類似の好事例であっても可とする
5.1回の好事例共有の時間は短時間。その代わり頻度を多く実施
6.なぜ、そのような好事例に繋がったのか、一歩踏み込んで参加者全員で検討
7.その好事例を自分だったらどのように活用するかを考えさせる
8.この取り組みに対して、即効性のある成果を求めない
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好事例を共有する取り組みを成果のあるものにするためにも、社内の風土・文化(当たり前のこととして実施できるレベルという意味で)まで根付くまで息の長い取り組みとなります。とはいえ一度築かれた風土・文化は強固なものであり、早々に崩れることは無いと思います。長い目で見た取り組みとして、無理なく、継続できるよう、皆様にあった創意工夫で実施してみてください。