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No.46「採用の決め手は求職者基点」

 コロナ禍以降、回復と共に急激な人材不足があらゆる業界で叫ばれており、弊社が基盤としている観光業界も人材不足によりお客様を受け入れられず稼働率を引き上げられない、といった声が多数の施設様から挙がっております。人材を採用するために、経済待遇の改善、求人チャネルの拡大など、多様な取り組みを実施されていらっしゃいますが、この人材不足はツーリズム業界のみならずあらゆる業界で発生している為、経済待遇の改善も求人につなげられる相対的な改善にはつながらず、求人チャネルの拡大も同傾向となっています。

 そのような中、一人でも多くの求職者を採用する為には、応募のあった求職者の方をいかに惹きつけ、“入社したい”と感じていただけるかが重要です。いくつ実践できているかを確認してみましょう。(弊社の主たるマーケットである観光業視点になりますことをご了承ください)


1)採用リードタイムの短縮化
応募から面接、採用までの期間を以下に短縮化するかが現在の採用市場では生命線となります。求職者も、迅速に対応いただけた分、早期に就業先が確保できることの安心感を持つとともに、その対応性に第一段階としてその企業に対する信頼度が高まります。応募に対する反応、面接までの期日や面接の回数など、求職者にストレスを与えない対応が求められています。
・応募:応募のあった当日に御礼および面接日程など調整を完了できていますか?
・面接:応募から求職者都合に合わせて最短で面接を実施できていますか?
・面接:面接回数を2回以上実施していませんか(1回で採用可否判断を出せているか)?
・内定:面接後、最短(理想は即日~翌日。最大で3日以内)で採用可否をご連絡していますか?
・採用:自社都合ではなく求職者の希望にできる限り合わせて最短で入社日設定できていますか?

2)採用基準の見直し
有効求人倍率が“1.0”を上回ると「売り手市場=求職者有利の状況」と言われている中、宿泊業を含むサービス業は“3.24”と異常値となっている高さとなっています(厚生労働省:令和5年12月統計)。全産業平均が“1.23”ですので、その高さが際立っています。このような状況において人材を採用するには
「求める人材像」そのものを見直し、採用後に「求める人材像」へ近づける取り組みにシフトしなければなりません。求職者の方々も“安心した就業環境”“自身の成長”を求められている傾向がございます。
・経験者:ほぼ求職市場にいないことを認識した上で採用活動を行えているか(コロナ以降、観光業から退職した方の大多数が他業界へ流出している)未経験者でも人物性・やる気などで採用をしていますか?
・若年層:年齢層を若年層に限定していませんか?
・外国人:海外から採用をする場合、経済待遇が円安の影響もあるので、一定の待遇(法的にも日本人同等が求められています)で採用していますか?(「海外人材=安い」は過去の幻想です)
・外国人:国内在住の外国人を採用する場合、日本語レベルをN1、N2よりも緩和していますか?(なお、特定技能においてはN4レベル)
・シニア :求職市場において求職者数が一定数いる年代。アクティブシニアの活用を想定した人材戦略を検討の上、を採用していますか?

3)ホスピタリティ力のある社員を採用業務へシフト
人材を確保できているか否かが安定運営・稼働率向上・新規開業の推進に大きく関係する状況です。顧客獲得においては市場が活性化している中、集客の難度は以前よりは下がってきていることも踏まえると、いかに求職者の心をつかみ、自社に来ていただけるかが重要です。また、採用もデータマーケティングが必要になっているため、ホスピタリティ力・営業力が一番求められる業務になっています。
・中途採用:採用担当が印象よく、求職者が『ここで働きたい』と感じられる価値・対応をできていますか?
・新卒採用:学校“営業”として進学・就職担当の先生の心をつかめていますか?
・新卒採用:学生の心をつかむために、その職務のトップ自らが協力してくれていますか?(例えば調理職などは総料理長が直接学生にプレゼンすることで大きく新卒採用を伸ばしている企業様の事例、複数あり)

 今回記載しました内容以外にも取り組むべき施策や抑えておくべき知識・情報等はございます。ただ、まずは現行の求職市場において基本事項として徹底できているか確認してみてはいかがでしょうか?