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2020.08.20
Column
No.3「相手の本音を“洞察”する」
ホスピタリティを実践する上で重要なことは「相手基点で本音を洞察すること」
相手が口に出した要望を対応することは当たり前のことであり、そのこと自体で相手が満足することはあっても、ホスピタリティを感じることは少ないのではないかと思います(専門性の高い対応であれば信頼性は高まることはありますが)。
“このようなことをご要望なのでは?”と考えたこと自体が相手からすれば自分のために一生懸命考えてくれたことへ感謝の念も湧くでしょうし、更にはその洞察したことが相手の本音と合致していれば、“私の求めることをよく理解してくれている”と、より大きな喜びを感じていただけるのではないでしょうか?
とはいえ、相手の深層心理を読むことができる超能力者のような方は、そうそういらっしゃいません。となりますと、実践することは大変難しいことだと思われます。ただ、自然と身近な方に私たちは実践している事象でもあります。例えば、ご家族と朝の挨拶を交わしただけで、その日の体調や気分など、何となくでも想像することはできると思います。常日頃から接している大事な存在だからこそ、“普段と少し違う”ということに気づけるのではないでしょうか?
仕事の場面でも実は同様です。同僚の顔色、仕草、発言などから普段と比較し想像することは色々とできますし、その想像した本音から声かけの仕方を考えて対応した経験は少なからず皆さんもあるのではないでしょうか?
この「相手の本音を“洞察”する」ことを接客などの場面で活かせると、ホスピタリティの高さを提供できます。接客場面はリピーターよりも初見のお客様が多いことが観光業界では考えられますが、それでもお客様の仕草、表情、発言、会話の内容から一定の本音を想像することはできるのではないでしょうか?もちろん、相手の本音と合致している可能性は普段接している方よりも低くなるでしょうから、「〇〇様、×××はいかがでしょうか?」という確認は必要になります(そうしないと、押し付けに捉えられてしまい、逆に嫌がられる可能性もあります)。お客様もそのような確認があることで「よく気づいてくれた」「私のことを考えてくれる」と前向きに受容いただくことになり、こちらへの信頼が高まるケースが多いのではないかと思います。
いかなるホスピタリティの高い施設でもクレームが0ということはあり得ません。ただ、能動的にお客様にお喜びいただきたい姿勢を表現するには、この「相手基点で本音を洞察すること」から始めることが多数のファンに支えられる施設・従業員に成長するための要諦であると思います。