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No.5「先を読む力を支える2つの力」

 私たちが教育で活用しているJTBホスピタリティメソッドのレベル6の要因に「先読み」というものがあります。その名の通り、「先を読んで対応してくれる」ことでホスピタリティを感じていただくための重要な要因の一つです。人との接触が減少し、IT化・AI化が進む中で、迅速性の高さとは違うホスピタリティの本質を感じる要因として、これからもブラッシュアップしていかなければならないと考えています。

 この「先読み」ですが、個人としても、組織全体としても、実践するためには2つの力が必要だと筆者は考えています。それは、相手(組織単位で言えばクライアントやマーケットに置き換え)基点を前提として、一つは過去からの延長線上である「想像力」と、もう一つは新たなものを作り上げ対応するための「創造力」です。

 前者の「想像力」を発揮するには、相手への興味・関心度の高さをベースに、多様・多量な情報や、過去の経験から何が求められるか、何が起きえるかを「想像」して、それに先んじた対応をすることができます。ここで必要なのは個人であれば“記憶力”、組織であれば知見・情報の蓄積とその知見・情報を簡易に引き出せる“仕組み”です。

 特に“仕組み”に関して、このようなコロナ禍を契機とした働き方の変革により、在宅ワークなどで個で就業する環境が多くなってきているので、「ノウハウ」以上に「ノウフー(その事柄に対して頼るべき人は誰かを知っている)」が求められる時代に突入してきます。個人での記憶、組織での仕組みの両面の早期改善が必要になってきます。

 次に後者の「創造力」です。こちらは文字通り「イノベーション」の範疇になります。個人であれば価値観の多様化、組織であれば時代の変化が激しいことを背景として、過去の延長線上で対応する「想像」では収束できないことが多々出てきます。その為に、「創造」し先を読んだ対応をしていかなければなりません。現代、全くの0から1を生み出すイノベーションを起こせるのは、天文学的な確率だと聞きます。ですので、私はシュンペーターの『イノベーションとは新結合である』という言葉が非常に腹落ちをしています。既存のモノ・人・情報・データなどを結び付けて新たなものを生み出していく、ということであれば「創造」していくことも日々の個人としての行動(組織であればその蓄積)にて実現することができるはずです。このような環境下だからこそ、社外志向で様々な人や情報に触れていく行動を実践していく必要があるのではないでしょうか。

 先の読めない環境で、どう先を読むのか。これからの個人・組織としての大きな分岐点となる要因だと再認識する必要があります。