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2021.10.15
Column
No.17「“相手基点で考える”ことの難しさ」
「お客様や相手の立場になって考えてみる」
よく言われていることであり、本コラムをお読みいただいている方の中には、ご自身が口に出して部下や同僚などにおっしゃった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
とはいえ、私たちは超能力者ではありませんからお客様や相手が真に何を考え、求めているかを100%正確に当てることは不可能です。にも関わらず、上記した内容を業務の中では頻繁に言われています(もちろん、このようなことは百も承知で言われていることですから、何も揚げ足を取るつもりで申し上げているのではありません)。
「お客様や相手の立場になって考えてくれた」という姿勢が重要であり、それをお客様や相手が感じていただけると、「私のために・・・!」という喜びにつながるわけで、そこに更に真の要望に近しい対応をいただけると感動につながる、ということになります。
とはいえ、生産性・効率性を高める、という企業活動の一つの側面から考えますと、マニュアル化を進め、短期的に促成できる育成プランを実施することも求められています。結果、その両立を図るために、大多数のお客様が喜ばれるであろう対応もマニュアル化し、感動提供を実施しやすくする傾向が増えています。
生産性・効率性を高めることは重要であり、私自身も部下には生産性をいかに高めるか、ということを求めています。ただ、生産性を高めた結果、ねん出できたコスト、時間などをどこに投下するかが重要かと思います。私はねん出できたコスト、時間をお客様対応にかけていくことに投下することを心がけています。
では、どのようにして実践すれば良いのでしょうか?
お客様や相手の立場になって考えること自体が非常に難易度の高い行為です。いくらお客様や相手の立場になって考えても、自身が持っている常識や固定概念で思考してしまい、結果として自身の考えの押しつけになっていることも多々あります。
お客様基点で考えるための意識と行動を高めるための取り組みとして、弊社では下記のような取り組みを推奨しています。
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<意識を高めるために>
・お客様の声を活用したダイレクトコミュニケーションによる共有活動
・成功事例、失敗事例の検証
・プライベートでの好感体験、不満体験と自身の業務との紐づけ
・他部署やパートナー企業から、定期的な自身(自部署)への日々の活 動に対するフィードバックを得る
<行動を高めるために>
・大前提として、お客様の要望をできうる限りヒアリング
・お客様との何気ない会話から、その方の趣味、性格、志向性などを把握
・お客様の表情、しぐさ、声のトーンなどから、本音を洞察
・法人営業であれば、クライアントの予習を、個人営業であれば過去のお客様との商談やパーソナル情報を確認
・成功事例から参考になりうるものを複数選択し、お客様の顕在化している要望と、そのお客様の性格、志向性から無理なく、興味・関心を持ってもらえる提案、対応を複数提示
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ホスピタリティ実践の大前提でありながら、コンスタントに実践することが難しい「相手基点で考えること」を、改めて心に刻みたいものです。