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No.32「“うれしい驚き”の効果的な活用」

 私たちは研修や講演の中で「お客様の事前期待値に届くレベル、そして上回るレベルのご評価をいただくことがリピーター作りには欠かせません」とお話ししています。

 ただ厄介なのは、その「事前期待値」です。人は一度良い対応を経験すると、次はそのレベルを「事前期待値」とする傾向があります。つまり「事前期待値」はどんどん上がっていくということです。

 もちろん接遇や営業をする側が、絶えざる努力で対応力を向上させることが重要ですが、とは言っても右肩上がりにレベルアップし続けるのは大変なことです。

 そこで効果的に使いたいのが「うれしい驚き」です。「うれしい驚き」とはJTBオリジナルのホスピタリティメソッドの中でレベル6に位置するもので、「予想していなかった、うれしい驚きを与えてくれる」とお客様に感じていただけることを意味します。

 「レベルアップし続けるだけではなく、まれにお客様が予想していなかったサプライズを提供する」

 お客様が求めていることのご評価を高めていく「レベルアップ」と、お客様が予想していなかったサプライズを感じていただく「うれしい驚き」は、野球のピッチャーに例えるならば、ストレートの球速を徐々に高めていくことと、ポイントで効果的に使える変化球を習得することに通じます。
 ピッチャーは、ストレートの球威を高めつつ、変化球を織り交ぜることで打者を打ち取ります。お客様対応力でも、サービスレベルを誠実・実直に高める一方で、まれにサプライズを効果的に取り入れることで、お客様にさらなる「好感」を感じていただくことにつながります。

サプライズサービスの成功には、3つのポイントがあります。
1)アイディア
サプライズなのですから、何と言っても「驚き」につながるような工夫が必要ですが、一人で考え付くことには限りがあります。できれば、職場内で成功した(=お客様に喜んでいただけた)サプライズサービスのアイディアを、蓄積・共有化したいものです。
2)コスト
もちろんお金をかければ色々なサプライズを演出できますが、予算は限られています。少ないコストでサプライズを実現できたものこそが、特に蓄積・共有化していきたいアイディアと言えます。
3)個別性
どんなに良いアイディアでも、フィットしていなければ「喜び」にはつながりません。お客様の個別の特性や時と場合に応じてアイディアを上手に使い分けるために、試行錯誤をしながらも少しずつ経験を重ねていきましょう。

 ただ、変化球を投げ続けると見透かされて打たれてしまうのと同じで、サプライズサービスをいつもやっていると「当たり前」になってしまい、逆に何もない時に「不満」を感じられてしまう危険性があります。実際に某有名ホテルの方から、数々の書籍などで「ミスティーク(神秘性)」なサービスの逸話が有名になり過ぎてしまい、サプライズサービスをお客様からあたり前のように期待されてしまうことの御苦労話をお聞きしたこともあります。大切なのは、あくまでポイントで効果的に取り入れることを留意してください。